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ケース1:用法・用量通り服用することが困難(飲み忘れ・過剰服用)
≪原因≫
・記憶力の低下に伴って、薬を飲むことを忘れてしまう/飲んだことを忘れ何度も飲んでしまう
・見当識障害により、「朝・昼・夕」と記載されてもいつ飲むべきかわからない
・包装された薬の取り出し方がわからずに飲めない
※見当識障害とは??
認知症の中核症状の1つで 、時間や季節がわからなくなる、今いる場所がわからなくなる、
人がわからなくなる といった障害
≪対応≫
・一包化する
服用する薬の種類や量が多くなるとその管理や服薬が難しくなってきます。
一包化することで、飲み忘れや飲みすぎを防ぎます。
・服薬ボックスやお薬カレンダーの活用
処方されたままの袋での管理より、常に目に見えるボックスやカレンダーのほうが
飲み忘れは防げます。
・飲み終わった薬の空を服薬ボックスやお薬カレンダーに戻す習慣を
「飲んでないかもしれない」と不安になった時、空袋が入っていると安心し飲みすぎを防ぎます。
また、「まだ飲んでない」と訴えがあっても、飲んだ事実を一緒に確認できます。
・お薬のタイミングを知らせる
お薬の時間に合わせて、ご家族が電話して服用を促したり介護サービスを利用します。
また、「アラーム付きのお薬ケース」を利用して飲み忘れが減ったケースもあります。
ケース2:お薬を飲むことを拒否する・嫌がる
≪原因≫
・病識がないため、薬の必要性を理解していない
・「毒」を盛られているのでは?などの被害妄想がある
・苦みや嫌な味を感じた経験がある
・薬の量が多すぎる
≪対応≫
・介護者以外の人がすすめる
「私は病気ではない」「この薬は毒だ」などの思い込みは、ご本人にとっては事実です。
また、このような思い込みは「一番身近な人」に症状が強く出ます。
介護者以外の身内の人や、医師、看護師、介護士などにすすめられると服薬する場合があります。
・すすめ方を工夫
「飲まないとダメ」「飲まないと病気がひどくなりますよ」などの声かけではなく、
「●●先生が出してくれたお薬です」「私はこのお薬で調子が良くなったから、一緒にどうですか?」
などのポジティブな言葉を伝え、用意しておいたラムネなどをご本人と一緒に飲むと
うまくいくことがあります。
・飲みやすい味や形に変える
「苦いから嫌」「飲みこみづらいから嫌」などの理由で拒否する場合があります。
苦い場合は、カプセルや糖衣錠・シロップにすることで軽減されます。
また、飲みこみづらい場合は剤型や貼付薬にすることで飲みやすくなります。
(下記「ケース3:飲みこめず口の中にためこんでしまう」もご参照ください)
※薬の剤型の変更などは必ず主治医にご相談ください。
ケース3:薬を飲みこめず、口の中にためこんでしまう
≪原因≫
・嚥下機能の低下により飲みこみづらい
・唾液の分泌が減り、口の中が乾燥していて貼りついてしまう
・認知機能の低下により飲みこみ方がわからない
≪対応≫
・薬をゼリーやオブラートに包む
薬の量が多いとき、薬が口の中に貼りついて飲みこみにくいとき、味が苦いときなど、
にゼリーやオブラートに包むと飲みこみやすくなります
・お薬の形状を変える(主治医に相談)
お薬にはたくさんの投与法があります。
(例:錠剤・カプセル・細粒・顆粒・内用液・シロップ・ドライシロップ・ゼリー・吸入・
軟膏・クリーム・ローション・貼付・点眼・点鼻・座薬・浣腸・注射など)
錠剤でも、口の中ですぐ溶けるものなどもあります。
主治医に相談し、今のご本人の状態にあった投与法を相談してみましょう。
・服薬介助方法のポイント
口の中に水を含ませた後、飲みこみを促すためにスプーンなどで下の上の奥の方に薬を入れます。
ケアのヒント
お薬を飲んでもらおうと、お食事に混ぜて服用している場合もあると思います。食事に混ぜ込むとせっかくの食事が美味しくなくなってしまい、食事拒否につながりかねません。混ぜる場合は最後の一口分だけ別に分けて混ぜ、食事自体は美味しく召し上がっていただきましょう。 またどうしてもご本人が服薬を嫌がる場合は、医師に事情を説明し、本当に必要な薬は何か・1回にまとめられないかなど相談してみてください。