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お風呂に入らない

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お風呂に誘っても…

  • 「毎日入ってるから、大丈夫です」ときっぱり断られる
  • 「さっき入ったから、大丈夫ですよ~」とやんわり断られる
  • 「入らない!」とかたくなに拒否され、暴れる
  • 「はい」といってお風呂場まで来て「やっぱりやめます」と断られる
「入浴したくない」という表面に出てくる言葉は同じでも、その理由はその人によって全く違います。単純に「入浴拒否」という言葉で片づけてしまうのではなく、その後ろに隠れているご本人の想いや理由を考えることが大切です。


ご本人の気持ち

≪混乱≫
 ・言われていること(「お風呂」という言葉自体・「お風呂に入りましょう」という意味)が
  理解できない
 ・「お風呂に入りましょう」と言われてどうすればいいのかイメージできない
 ・洗い場に多くの風呂道具がありどれを使えばよいかわからない

≪不安感≫
 ・着替えや洗髪・洗身などの入浴動作ができなくなりつつあり、自信がない/
  そのような自分を見られたくない
 ・入浴中に衣類がなくなる(盗まれる)のではないか
 ・身体的な不調があるが、うまく伝えられない
 
≪恐怖感≫
 ・風呂の深さ、湯温などを推測できなくて怖い
 ・今まで転倒歴があり、また転倒するのではないかという怖さ

≪羞恥心≫
 ・裸を見られたくない
 ・下着の汚れを見られたくない

アプローチ方法

◆環境の調整
 ・お風呂とわかるような環境作りをする
  (例)温泉マークの暖簾や銭湯気分になる風呂桶など
 ・風呂道具にはご本人が理解できる表記をしておく
  (例)・シャンプー→頭を洗う石鹸/ボディーソープや石鹸→身体を洗う石鹸
     ・シャンプーには「1」、身体を洗う石鹸には「2」など使う順序を表記
 ・ご本人の状況に応じた福祉用具や手すりの活用
   特に、転倒歴などがあり不安を感じている方については専門職に相談し、
   ご本人が安心・安全に入浴できる環境を整えます
 ・裸になるところを人に見られない環境作り
  (例)カーテンや衝立など

◆入浴前の準備
 ・浴室内の室温に配慮
   肌寒さを感じることで、「入りたくない」という気持ちにならないよう、
   浴室や浴槽の適切な温度管理を行います
 ・入浴前にトイレ誘導・下着交換を行う
   羞恥心に配慮した準備が必要です

◆誘導方法
 ・ご本人がお風呂をイメージできるような言葉でお誘いする
   (例)「入浴」「お風呂」がわからなくても、「銭湯」や「温泉」という言葉で理解できる
      ことがある
 ・言葉で理解できない場合は、風呂桶にタオルや石鹸を用意したものをお見せし、理解を促す
 ・ご本人の興味のある趣味や関心のある「ひと仕事」をやっていただいた後、「お仕事お疲れ様です」
  と自然な形で入浴に気が向くような機会を作る

◆入浴中の工夫
 ・「衣類などが盗まれる」という心配のある方には、入浴中も常に見える場所に置いておく
 ・羞恥心については、タオルを使用して見えないようにするなどの配慮をする
 ・一つひとつ手順を説明し、できることはやっていただく。やってもらって助かったことの
  お礼を述べたりねぎらうなどの声かけをする
 ・ご本人の入浴のこだわりなどを教えてもらいながら対応する
 

  

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ケアのヒント

 身体の清潔を保ち心身機能を高め、健康を維持するためにも入浴はとても大切です。ただ、認知機能の低下により入浴は困難になってしまうことがあります。入浴ができていないことに介護者として焦ることもあるかと思います。
ご本人の気持ちに寄り添い、できることを尊重しながら清潔保持ができ、そこから爽快感と満足感が得られるようにサポートすることが必要です。そのためには、常にご本人を中心とした、その人らしい入浴環境を整備することから始めてみませんか?

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