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日中は穏やかに過ごしているが、夕方になると |
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なぜ、夕方になると変わってしまうの?
①せん妄状態となっている
水分不足や睡眠不足、慢性的な便秘などはありませんか?
②外が暗くなることへの不安
認知機能の低下により「今がいつなのか」「ここはどこなのか」わからない状態に加え、
外が暗くなるという外部環境によりさらに不安が増します。
③「夕方忙しくしていた」習慣がある
主婦であれば家族のために買い物に行ったり食事を準備したりしていたでしょうし、
働いていれば帰宅する時間です。
その習慣を当たり前に行おうとしているのかもしれません。
予防方法
☑ 水分摂取を促す (1日1,500㎖~2,000㎖)一度に多く飲んでもらうのではなく、少しずつ回数を分けて勧めると必要量を摂取しやすいです。
☑ 軽食やおやつなどを食べてもらう
ソワソワし始めたら、ご本人の好きなものなどでお腹を満たして差し上げます。
介護する方も一緒にゆっくりすると安心するようです。
☑ 日光浴をする
できれば午前中、太陽の光を浴びるようにしましょう。
体内時計がリセットされて、夜間眠りやすくなります。
外に出られなくても窓のそばにいて太陽の光に当たるだけでもよいと言われています。
☑ 夕方早めにカーテンを閉め、部屋を明るくする
日が暮れていくのを見ると、不安が増すようです。
その前にカーテンを閉める、部屋を明るくするなどの対応をしましょう。
☑ 今までの生活習慣を継続できる環境をつくる
料理を手伝ってもらう、日課としていたことを実践してもらうなど、ご本人が安心
できる環境を作りましょう。
対応方法 「もし症状が現れたら…」
☑ ゆっくり話しかけて不安な気持ちに共感しますご本人は不安な想いを、様々な形で表現しています。
いったんご本人の気持ちを受け止め、話を聞き安心できる環境であることを伝えます。
☑ 殴ったり蹴ったりという暴力が出ているときは見守ります
ご本人も混乱しています。その時に止めようとすると転倒の危険やさらに症状を悪化
させてしまいます。
※1 せん妄とは?
病気や体調悪化、環境の変化、生活リズムの乱れなどから脳がうまく働かなくなり、
言動に一時的に混乱がみられる状態のことを言います。
事例の詳細
基本情報
H様(80代・女性/要介護度3)<既往歴>
アルツハイマー型認知症
<生活歴>
幼少期、実母を亡くし母親代わりとして妹を育ててきた。
結婚後は育児に専念。お母さんたちの間でもリーダー的存在で姉御肌だった。
取り組み内容
仮説
- 水分摂取量が少なく、夕方「せん妄状態」なって混乱しているのではないか
- 母として日課としていた夕食作りなど、夕方になると用事を済まそうとするのではないか
- 今までリーダー的存在であったのに、それを発揮できず孤独感を感じているのではないか
アプローチ
- コップに8割程度でお出しすると「こんなに飲めないわ」と一口も飲もうとされない
- コップに3割程度でお出しし、回数を増やすようにしたところ、1日に必要な水分を摂取できるようになった
- DS内のおやつ作り、配膳を手伝っていただく
- ご自宅でも、調理の盛り付け・食器洗いをご主人と行う
- 得意だった歌をほかのお客様の先生役として披露していただく
- ☑水分摂取量を増やす
- ☑役割を担っていただく
変化
脱水症状の改善と睡眠状態が良くなり、生活リズムが整ったことで、夕方表情が変わることはなく
穏やかな表情で1日お過ごしいただけるようになる。
ご主人と一緒に買い物にいったり、配膳を手伝っていただくことで、笑顔が見られるようになった。