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なぜ、同じことを何度も繰り返すの?
①記銘力の低下
新しく体験したことを記憶にとどめておくことを記銘力といいますが、
その能力が低下するため、体験そのものがすっぽりと抜けてしまいます。
私たちが2度目、3度目と感じていることがご本人にとっては毎回初めてのことなのです。
②不安・心配で仕方がない
認知機能の低下により、「今がいつで」「ここはどこで」という見当識も低下します。
そのため不安や心配で仕方なく確認したいのです。
③本人も「なんだかおかしい」ことに気づき自信を喪失している
ご本人自身も「あれ?」と自覚し、また周囲の対応で自信を喪失していると考えられます。
そのため、昔の輝いていた時代の話をすることで、気持ちを保とうとしているのかもしれません。
対応方法
☑ 「言えばわかってくれる」という想いをいったん忘れてみる「何度か伝えれば理解してくれる」という想いと「なんでわかってくれないの」という
想いが介護者の気持ちを苦しめてしまいます。
☑ 時間や回数を決めて向き合う
5回だけ、5分だけなどと決めて、しっかり向き合って話を聞きます。
「聞いてもらえる人がいる」という安心感から「何度も言う」ことが減るかも
しれません。
☑ 伝えるときは「ゆっくり」「短文で」
一度に多くの情報を処理できないのも認知症の症状の特徴です。
ゆっくりと、短文で伝えることで一度に伝えるよりご本人は理解が深まります。
☑ 誠意をもって、毎回同じ対応をする
同じ訴えに毎回返答を変えるのは介護者にとっても負担です。
数分前に伝えたことは忘れてしまっています。
しっかり目をみてお話を伺ったうえでなら、何度でも同じように答えても
ご本人は安心します。
ケアのヒント
記憶障害により出来事の記憶は難しいですが、
その時の感情は残ると言われています。
何度も同じことを繰り返されるとストレスになりますが、
穏やかに対応することで「この人・この場所」が「安心」で
あるという感情が残ることで不安が少し解消されます。