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なぜ、事実とは違うことを信じ込み他者を責めるの?
①記憶力や理解・判断力の低下によるもの
記憶力や理解・判断力の低下により物事を忘れてしまったり、正しく判断できなくなっている状態です。
●ご本人の思考
「大切なものだからしまっておこう。」
⇒しまった事実や場所を忘れてしまう(記憶力の低下)
⇒「誰かに盗まれた!!」(理解判断力の低下)
②日頃から感じている不安感
今までできていたことが徐々にできなくなってくることへの焦りやもどかしさが引き金となり、
行き場のない気持ちや不安を周囲へぶつけてしまうのではないかと考えられています。
③自立心の強い性格
もともとの性格が原因となることもあります。
「こんなはずじゃない」「私が忘れるわけない」と考え、その想いが他者に向いてしまいます。
対応方法
☑ 本人の訴えを否定せず、受け入れます「盗んだでしょ!」と言われたら「違う」と否定したくなりますが、否定は逆効果です。
否定せず、「それは困りましたね」とご本人の気持ちに共感し、一緒に探します。
☑ ご本人が見つけられるようにします
一緒に探してそのものが見つかった場合、介護者が「ありましたよ」と伝えると、
「やっぱりこの人が盗ったんだ」という風に受け取ってしまう場合があります。
ご本人が見つけられるように誘導したり、さりげなく目に付く場所に変えたりし、
ご本人が見つけた!という状況を作ります。
☑ 日頃から役割をお願いする
家事の手伝いなどをお願いし、「ありがとう。おかげで助かりました」とお伝えすることで、
不安が解消され自信が回復します。
「ここにいていいんだ」という安心感を持つことでものとられ妄想は改善するとも言われています。
ケアのヒント
「妄想の対象にされるのは、本人に一番精力的にかかわっている証しである」と言われています。
介護者が妄想の対象となり、極度に負担がかかっているケースも多く見られます。 妄想を改善するためには第3者に介入してもらったり、サービスを利用して 環境を変えるなど距離を置くことも有効と言われています。